2008年10月13日

21世紀の国富論

国富論(著者:原丈人氏)を読みました。

世界的に大恐慌になり、今後の経済はどのような方向を目指せばいいのだろうか、といった想いがこの本を買う動機になったのだと思います。

以下、この本を読んで、私が特に印象的に感じた点を記載します。

経済はあまりにもマネーを生み出すことに夢中になりすぎた。新しい技術を追求することよりも。

著者はベンチャーキャピタリストです。どういった企業に投資をし、育成していくべきか、強い信念をお持ちです。ROEや株主時価総額といった定量評価を否定します。

ROEを上げ、時価総額の最大化を目指しても、それは手段であり、目的ではない。あらゆるものを全て数字に置き換えることには問題がある。人の動機づけ、幸せといった本来定性的なものは定量化できない。

企業価値を図るのに割引現在価値(ディスカウントキャッシュフロー)で評価すれば、研究開発投資がどうしても抑制されてしまう。

そのような定量評価重視でヘッジファンドが求めているのは、短期的利益の獲得だ。彼らが実際に行うのは、企業の建て直しは活性化だどではなく、会社が持っている資産の売却や現金の配分でしかない。

そもそも「モノ言う株主」として経営に関与する以上、すぐには株式を売却をできないようにするといったことを法制化するべき。

現状、短期的な株価上昇を求める株主の利益とストックオプションを持っているCEOが得る利益とが一致しており、ガバナンスが機能していない(大企業のケース)。

新しい技術。コミニュニケーションの基づいた次世代のアーキテクチャ。これをPCUの時代と呼んでいる。パーベイシブ・ユビキタス・コミュニケーションズ。

いま世界的に必要とされているのは、大きなテクノロジーリスクの存在する初期段階にある技術に対して積極的に投資を行い、これを成功に導いていく力。ベンチャーキャピタルが担っているそのような役割を今後、事業会社が担っていくべき。そして長期的技術育成を図る上での相乗効果を得るべき。

日本の強みはきわめて複雑なハードとソフトの融合を実現する力を持っている世界髄一に国である、ということ。

PCUの時代においてはマイクロソフトがOSの分野で築いた独占状態は起こらない。マーケットはより細分化が進み、それぞれの小さなマーケットでスタンダードを握る企業がたくさん存在するようになる。

以上です。

日本は、そもそも欧米と比較して、中長期的視点で経営をしていました。株主重視の経営というより、従業員の働き甲斐をも大事にし、人を育てる経営をしていたと思います。

バブル崩壊後、欧米的な経営スタイルが重視され、ROEや株主重視の経営がもてはやされ、リストラもしばしば実施されるようになった。確かに財務数値を見れば、筋肉質になったのかも知れませんが、その中で本当に新しい技術がたくさん生まれたのでしょうか? 財務数値が強くても、株価は簡単に下がってしまいます。

欧米スタイルの経営に壁が立ちはだかったいま、会社の役割とは何か、会社が創るべき価値は何なのか、もう一度考え直す必要があるのではないかと思います。

その上で、この本は問題提起、問題意識、ビジョン、どれをとっても明確で、一つのヒントになるのではないかと思うのです。

この本のことは「今日のみやくん」や「週末企業舎」でも記載されています。

ラベル:原丈人 国富論
posted by ハマトン at 13:37| Comment(26) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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